仮設の担当って何してるの?


真夏の屋根の無い屋上はまじであちぃです。

くみこです。


今回は建築の施工管理で、僕の担当の1つである「仮設」って何をしてるの?って話を書いていきます。興味ある人は読んでくださいー。


まず建築の仮設と聞いて何を思い浮かぶでしょうか?

大方の人は建築の外側をネットで覆ってたりする足場を思い浮かぶんじゃないでしょうか。


仮設足場とは何かと言われたら建築物を建てる、仕上げる、修繕するために使われる一時的な足場の事です。

当たり前ですが役目を果たせば解体されます。じゃ何のために組み立てられるのでしょうか。


第一にはより高く建物を建てるためです。

一般的なマンションでも大体階高は3m前後あります。部屋の中を建てるなら脚立などあれば届きますが、じゃあ外壁をどう建てていきますかという話です。1階ならまだしも2階より上は空中です。


そう、そのための足場なのです。外をぐるっと囲んでる足場なら痒いとこに手が届くのです。


また、一層上を建てたとして、そっからどうやって上へ行きますか?建ててる最中は階段もまだ設置してない場合もあります。

そう、そのための足場なのです。仮設足場には階段も取り付けられますので一層上にもいける訳です。


これらは仕上げをする、修繕するのも同様で、基本的に建物から手が届かない、たとえば外壁などにガタガタのコンクリート面をきれいにしたり、タイルを貼り付ける等の作業には必要となってくるといったわけですね。


他の理由としては道具の落下や工事で出る粉塵を外に出さないようにするためですね。

これは足場の壁にネットやシートを被せて対応しています。


ネットも種類があってそれこそ粉塵対策を行うならよりきめの細かい生地になるのですがそうなると風の影響をモロに受けてしまうんですよね。

台風とか来た場合はネットを取り外すなどの処置をしないと最悪足場を倒壊させる危険性も孕んでいます。

また、編み目が細かいほど生地も硬く重たくなるので作業効率も落ちたりしますし、リース代も高くなります。

なので、あくまで飛散物の対策だけならば編み目の粗いネットにするのが1番効率は良かったりします。

また、短期間であったり低層だったり敷地外に影響を及ぼさない場合はネットをしないという選択肢もあります。


それはあくまで設計の段階である程度こうするといったルールがあり、基本的にはそれに忠実に行い、設計で書かれることのないくらいの瑣末な部分に関しては現場で判断したりします。


足場の設計に関してはある程度設計段階で決まっているのですが、実際現地で測ってみないとズレてたりするわけです。

また職人さんが実際組み立てたり解体しやすいように、また足場使用者が使いやすいように微調整かけていくのが施工管理者と鳶職の腕の見せ所というわけです。


ここで鳶(とび)という単語が出てきましたが、

そうです。「足場を組み立てたり解体する業者」こそ鳶なのです。だから現場仕事する人=鳶では全然無いんですね。


鉄筋コンクリート造の建築だとよく言われる躯体三業者というのが、躯体の枠を建てていく人が(型枠)大工さん、鉄筋を加工し配筋するのが鉄筋屋さん、そして足場を組んでいく鳶さん。というわけです。


他に鳶の業者は敷地の整備も担当します。

たとえば、敷地を囲ってる囲い(万能板だったりフェンスバリケードだったり…)を組み立て解体したりもします。

もちろん、そういった作業も仮設担当が指示します。

つまり、仮設担当はこの「鳶さん」をいかにスムーズに作業できる環境を作っていくかというのがメインとなっていくわけです。


日程調整、人員調整から始まり、資材の発注、その置き場所、搬入時間、置き方、組み立てる際の図面作成、揚重機の使用タイミング、ダメが無いか現地確認、そして次の工程の日程調整…


まあざっと挙げるならばこんな感じです。後は鳶さんによってはルールややり方があるので勝手が変わってきます。

僕の場合、担当の鳶さんは僕の作った鳶さん用の図面さえ渡せば自分でもしっかり資材の数量を拾ってくれるタイプだったので楽でした。


あとは建設中の建築物には電気や水道が通っていません。電動工具を使ったり、モルタルで補修する時など当然ながら作業中は電気と水は必須です。なので電気や水を引っ張っていく必要があります。


電気だとまず受電のキュービクルを設置してから、このスパン数でこの規模やから100Vは何個、200Vは何個、そしてどの辺に設置するか考えながら配置して業者さんに指示していくわけですね。


電気がたまに雨で漏電してブレーカーが落ちたりするとどこのコンセントが漏電したかの犯人探ししないといけなくなるので面倒くさいです。

あと僕感電した事あるんですけどビリっていうよりかはダダダダダッ!!!という衝撃が身体に伝わってきたというそんな感じです。100Vだったのでなんとか大丈夫でした。


水も同様であらかじめ引っ張った水に対し、リースした高圧ホースをつなげて建築物まで持っていき利用します。どこのエリアに捻り口を設けるかなどの最大効率となるような配置計画を考え、発注するのが仮設担当の仕事です。


まあ関係ない話ですが、冬だと配管の中の水が凍るので1番奥の水栓を開けっぱなしにして垂れ流さないと夜の間に凍結して作業できない、トイレの水が流れない…となって職人さんのクレームが鳴り止まなくなるので0℃を下回る日があれば注意しないといけません。


その他でいえば、プレハブの事務所や詰所の計画(配置、レイアウト、その他段取り)もしていきます。まあこれは窓口は仮設担当ですが基本的には所長とか上司が考えていきますかね。解体の方は基本的に全て任されます。


あと何か揚重する重機を使用するのには必須の床に敷く鉄板ですね、敷かなかったら重量が土盤にかかるわけです。

土に数十トンの負荷なんかかけたら沈み込んで傾いて重機ごと倒れてもう大事故ですね。


その鉄板を敷地にどのように敷くか、というのも仮設の仕事です。基本的に大きさは五二十「5尺(1.5m)×20尺(6m)」です。もちろん鉄板は大きさを加工できないわけですから敷き方や並べる順番などの工夫がいるわけですねー。


その鉄板の移動はレッカーで運ばれていき、外構業者(駐車場などの敷地を掘削整備し仕上げていく業者)や鳶業者が行います。


他はプラスαの要素として単管(パイプ)など使って仮設の休憩小屋を作ったり、ゴミ置き場や資材置き場を作ったり業者や監督の快適作業のための仮設施設を作ったりします。それらの計画を仮設担当が行い鳶さんに指示したりします。


しかしそれらプラスαは請負作業(あらかじめ含まれている契約作業)ではなく常用作業(ある作業を時間内分行った時に幾ら貰えるといった作業)となるので予算を握っている所長や、細かい事で常用作業やとか言ってくる業者だと難しかったりします。だから人間関係は大事なんですよね。


仮設担当で1番難しいのはなんといっても発注の種類の数、その管理でしょう。

大抵はリース品で次の現場にも使うわけです。足場関係だけでも一度に40種類は頼みます。そのうち1つでも抜けてたり数を間違ってると仕事が出来なくて詰み…って事もありますからね。

多すぎても置き場所無かったり余計なリース代もかかるのでよく無いですね。

敷地がある程度あるならば念のために予備をちょっと入れるくらいが丁度いいです。


ざっと…足場枠、床、筋交、桟、階段、単管、クランプ、ブラケット、ネット、壁つなぎ、などなどですね。なんのことやらって感じですかね。


他のリースだと鉄板、万能板、レベル測定器、バリケード、脚立馬、消火器、扇風機、ウォータークーラー、製氷機、仮設トイレ、各机、椅子、キャビネットなどなどですね。種類ばらばらになってしまいました。


もちろん販売でカラーコーンやトラバー、結束番線、紐、釘、ボルト、アンカー、ブルーシート、土嚢袋、トイレ、事務所備品、工具、電動工具などなどですね。それらは返さなくていいですが管理する必要はありますね。


まあリース先も物によって違ったりするのも大変ですが滅失代を出さないように無くさないようにしたり、綺麗な状態を保つのも大事なので返す時にうまく帳尻合わせていくかも仮設担当の腕の見せ所ですね。


まあ、まとめていくと仮設担当は

・仮設足場

・仮設電気

・仮設水道

・敷地の囲い

・敷地鉄

・プレハブの詰所

などの計画、発注、指示をするといった事をする訳ですね。


これらに共通していえる事は、仮設なので最終竣工した時には全て無くなって後に残りません。

建設は「形に残る」仕事ですが、仮設に限っては何も残りません。ていうか残ったらダメです。


ただ職人さんが作業する上でこれら全ては絶対に必須になるのもまた事実なのです。


なかなか地味な作業ではあります。どれだけ快適な職場にするかを必死に考えても文句は絶対に言われます。めちゃくちゃ言われます。

ただその文句も受け止めて(理不尽を除く)また考えてなるべく反映させてあげたり工夫をすればその工夫に気付く人が数人かはいる訳です。それを言ってくれる人がいたりすると担当冥利に尽きるといったものです。


また、仮設のメインである鳶さんとは何回か飲みに連れてってもらってLINEもしてる仲にもなりました。

ザ!職人って感じで見た目イカついし感情的で短気なのでなかなか怖いですが漢気があり裏表が全くない人で信念をしっかり持った本気で良い人です。

僕とは性格も違うし、結構意見が合わなくて衝突する事も多々あるんですが、裏では僕が一生懸命頑張っているのを認めてくれているらしく正直嬉しかったです。

この仕事をしなければ会う事すらなかった人種(言い方あれですけど…)と深い仲になる事なんてあり得ないですからね。



施工管理は担当がめちゃくちゃあって仮設担当は色々ある担当の一つで、建築が小規模であるほどそれだけ現場監督の人数は減るので担当の掛け持ち数も増えていきます。なので今回が最後になるでしょう。

寂しいですね。次は後輩に教える事から始まることでしょう。


…いかがだったでしょうか。まあ仮設担当の奥深さの一部を垣間見る事はできたでしょうか。


あくまで僕が働いてる会社での仮設担当ですので他社とはちょっと勝手が違ったりするかもしれませんが…。


詳しく知りたい方はネットで調べるか僕に直接聞いて下さいね。(文で書くの量多すぎてキツい。)


では、またいつの日か🕺