どうでもいいアレルギー事情②



アレルギーに打ち勝つにはとある療法を受けなければなりませんでした。とはいっても楽な道ではありません。

ちょっとずつ摂取して負荷をかけだんだん耐性を付けていくという完全に荒療治だからです。


たとえば卵の場合、ゆで卵の白身1gから食べていきます。

なぜゆで卵かと言えばなるべく茹でたり焼いたり加工された方が症状が少なくて済むからです。

そして僕は卵と牛乳が死ぬほど嫌いでした。シンプルに味も嫌いですがそれよりも僕にとっては軽い毒なわけですから、この後のどが苦しくなるものを食べて心地よい訳が無いんですよね。お腹も下しますし、じんましんも出ますし。

この訓練は小学生から週2でやっていました。正直その日は気持ちがいつも沈んでいました。


卵1g食べて様子を見ます。およそアレルギーの症状が出れば摂取は終了します。要は閾値を調べていく訳です。

変化がなければ次回以降は2g、3g、5g、10g…と増やしていきます。


僕はそのやり方で1gでもキツかったのが中学生になるまでには100g食べても軽い程度で済むまで成長しました。


アレルギーが出た時、昔は飴を舐めていました。喉が痛いのを少しでも紛らわすためでした。

当時僕はミントが嫌いで間違えてレモンミントの飴を舐めてしまい米津玄師ばり(?)のウエッ!と嫌悪感が出たのですがその後のメントールのスースー感が絶妙に痒い所に手が届くような気持ち良さがあったのです。味は嫌いでしたがこうして食べていくうちにいつの間にかミントが好きになっていました。


…何が言いたいかというとミントのおかげでそこまで苦じゃなくなったということです。


また、ここまで食べられるようになるとグラム関係なく加工品、たとえばたこ焼きやお好み焼きだとかたまごスープやうずらの卵などを食べて訓練してました。

実は今も王将のギョウザが卵を含んでいるので定期的に食べてるのはこれが理由です。(嘘、ただ単に好きだからです。)

ゆで卵は単純に卵の味ですが、加工品はあまり卵の味もせずどちらかと言うと好きな食べ物だったので面白いことにあまりアレルギーもあまり発症しませんでした。

これがプラシーボ効果とやらでしょうか。なので訓練という感じではなくただの食事の一環として捉えられるようになったのです。「たまご」は。


ただ牛乳に関してはなかなかシビアで1滴単位で行っていたものの、その1滴ですらアレルギーが発症するくらい重度なものでした。

中学生まで頑張っていたものの結局30滴が限界でした。売られていたおいしい牛乳も不味いですし、なにせ副作用がなかなか重く気が乗りませんでした。


中学になってからは訓練の頻度を減らしていきました。

というのもアレルギーと運動は非常に相性が悪く血圧が上がるとアレルギーも悪化してしまいます。陸上というなかなかハードな部活ということもあったり、やはり腹を下したり気道が狭くなってパフォーマンスがガタ落ちしてしまうというのが障壁となりました。

なので基本は悪化しない閾値ギリギリぐらいの量だけを摂取し、キツい牛乳はなるべく休日である日曜に摂るようにしていました。


なので結局、今食べられる限界量は中学生の頃でストップしているというわけですね。


ただ陸上を続けていたおかげで肺活量が人並み以上に大きくなり喘息もなくなりました。

アトピーもいつの間にかなくなっていました。(乳首だけアトピーが残っている話は高校編①で)


ただ花粉症は悪化し、さらに花粉症の派生からか果物までも軽度ですがアレルギーになってしまいました。主に唇が腫れたり喉が痛んだりといったところです。


たとえばリンゴ、これも実はアレルギーなのですがダメなのはあくまで生のリンゴだけなんですよ。なのでリンゴジュースとかジャムだとかはいけるわけです。


無理なのは生で且つ熟れてきたものだと悪化することに気付きました。

キウイなどはそもそもアレルギーだったのですがメロン、バナナ、桃、リンゴ、梨…これらは全部生だとキツいです。食べれたものが食べれなくなるのは少し悲しいものです。

これからやってくる老いもそうなのでしょうか。


逆に柑橘系、ぶどう、いちごは大丈夫です。僕の好きなレモンは大丈夫なので助かりました。


最近ではアレルギーである事を話すときまって、え?わたしの娘が子供の頃卵アレルギーやったけど成長したら治ったで、とか知り合いでアレルギーの人おったけど今は普通に食べれとるで、昔治そうと努力せんかったん?とか食わず嫌いちゃう?とかまだ案外言われるんですよね。


言わせてもらうとそういう治る人達というのはアレルギーが軽度なんですよね。なのでむしろ努力をしてないのは治った側の人達なんですよ。


かく言う僕もアトピーに関しては軽度だったので努力せずに成長段階で治りました。だから今もアトピーを抱えてる人達にとってはおんなじような事を思われてるかもしれません。


何が言いたいかと言うとその知ってるという元々アレルギーやったやつと俺とを一緒にしないでくれ…ってことです。1つの価値尺度で全て測れた気になるなということです。


とはいえ、食物アレルギーってただの好き嫌いでしょ?と本気で思われていた15年前とは違い、大衆的に知識が広がったんじゃないでしょうか。成分表示だとか外食チェーン店だと波及しつつあります。


おかげさまでアレルギーでも少し生きやすい世の中にはなってきました。


次回③で最終回にして③では僕の事を知りたいなら永久保存版にするレベルの僕のどうでもいいアレルギー事情を話していこうかなと思います。