香水を歌詞解釈してみた

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こんばんは、夜中にいきなりいつ空いてるのってLINE送りがちなくみこです。


1年前…2020年に流行った香水って曲あるでしょ?あれ書いた瑛人って人が実は僕と同い年なんですよね。

なのにあんなクズ歌詞書けてすごいなーと思うんですよね。



え?貶めてませんよ?最大の褒め言葉です。無意識かそれか相当の工夫があったのかは知りませんがあちこちに意図的なクズ要素を散りばめた良い歌詞ですね。

どういうところがクズなのか今から紹介していきますね。


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「夜中」、「いきなり」というワードが衝動的だったり欲求不満を表しています。それが誰から「LINE」が来たのかと言えば、文中では「君」、そして下2行の内容で、僕と君は元々付き合っていた関係であることが分かります。(以降、君を元カノと表記する。)


「3年」くらいと結構長い間連絡取ってないのにいきなり元カノからLINEが来るという事は違う男と別れた、あるいはうまくいってないからでしょうか。

元カノと付き合ってる時は自分達は「なんでもできる」、乗り越えていける気がしてた…のは、お互い想い合っていたからでしょうか。

将来の事を考えず今だけを生きていた若い時分だったからでしょう。


海でたくさん写真撮ったことを元カノとの思い出として真っ先に思い浮かんでいます。

嫌だった事や悲しい事ではなく、楽しかったそして綺麗な思い出である事からもいつ空いてるのってLINEにもしかしたら…と、まんざらでない気持ちでいます。

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しかし、少しためらいます。それはかつての純粋な僕ではなく荒みきって自分の事をクズだと言っています。一行前に海という美しいものを取り上げてるだけに今と昔の対比がくっきり現れています。


人を傷つけても何も感じ取れないのは全てが他人事であるという意識からでしょうか。この一行ではいかに自分がクズであるかを具体的に示してくれています。ある意味潔いですね。


ここで取り上げたいのは「また」泣かせてもって所です。「また」ということは少なくとも2回以上泣かせているわけです。

そのうちの1回はおそらく元カノと別れた時に泣かせてしまっているのではないかということです。これは実は歌詞の最後に繋がりますので覚えといて下さい。


そしてあまりにも有名過ぎるサビに突入します。

このサビ、実は結構大事で「横にいられると思い出す」という歌詞からもあのLINEから実際会っているという事が分かります。

そしてサビにはたくさんの「クズポイント」が散りばめられているのです。

画像にも載せたのですが一度羅列してみますね。

「別に〜」、「〜けど」、「〜られる」、「〜のせい」

もうクズをクズたらしめる言い回しですね。


別に〜 を付ければこの後の文章をはぐらかす事ができます。無責任さのあらわれですね。

〜けど は否定しているように見せかけてためらっているだけで割と本音です。

今回の場合、君を求めてないけどと言っているが完全に求めてないわけではありません。少し含みを感じられます。

そして、〜けど の後は前の文ではこっちが妥協しているのだからこれだけは言わせて欲しいというニュアンスが含まれます。

多いシチュエーションとしては言い訳とかですかね。

一気に意訳してしまうと

は?俺は別にお前の事どうでもええんやけどお前の香水が俺を誘っとるんやから仕方ないやんけ、お前のせいや

という事です。完全に言い訳です。


〜られる 基本的にこの受け身表現使う人は責任を他人に押し付けます。

〜のせい あ、もう確定演出ですね。


もう文章見ずともこの4ポイントをこの2行に詰め込むとか満点欲張りクズセットの出来上がりなんですよねー。瑛人天才かよ。


…という事でサビの中身見ていきましょうか。

やはりタイトルである香水、人は「匂い」から起こされる記憶に対し鮮烈に残るものだと思ってるんですよね。

その記憶はどちらかというと脳で想起される理性的なものというより本能的なものとして残ります。

その香水は3年前から変わっておらず今も同じ香水を付けている事から過去の良かった記憶までも呼び起こされたのでしょう。

理性では否定しているが本能が反応してしまっているパターンですね。


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2番に移ります。

君は何のために僕と会ったのか。それも分からなければ、僕がなぜ君と会おうとしたのか。それも分からない。

もしかしたら君も同じなのかもしれない…。


だから会って何をすればいいのか分からなかったのです。


口先でしか言えない「可愛くなったね」は別にお世辞だからではありません。

本気で言ってしまえば自分がその気になってしまいそうだから抑えているのです。


その気になりそうな僕がその後目にしたのは「タバコ」をくわえた彼女である。


初めて見たような口ぶりなので昔は喫煙者では無かったのでしょう。


僕は揺らぎます。なぜなら僕が思い出に閉まっていたのは綺麗なけがれのない彼女だったからです。

それが3年という長い月日が残酷にもそうさせたのです。

3年も綺麗な君を妄想していたのだからタバコを吸うようになったという事実に幻滅するのは一瞬です。ここでも冒頭の歌詞と同じく「いきなりさ」を用いていますがそういったニュアンスもあるでしょう。


正直見たくなかったその姿に彼は勝手ながら悲しくなっています。

「悲しくないよ」と2回も嘆いているのは言い聞かせるためでしょう。


そう、僕も変わってしまったように君が変わっただけなのです。同じ事です。


それなのに自分が変わった事には仕方なかったんだと甘えているのに対し、彼女が変わってしまった事には許せない気持ちになっているのです。


一番の歌詞、「何も感じ取れなくてさ」の部分が元カノのタバコを吸っているシーンに掛かっているならば彼女に対するある種の諦め、時の流れの及ばなさの嘆きになりますが、

「何も感じ取れない」状態の割に人が変わってゆく事に敏感になっているという事はやはり自分本意の考えがそうさせているのでしょう。詰まるところクズということです。

こんだけタバコ吸う君はありえないと言う人に限って自分はタバコ吸ってそうですよねー(偏見)


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「空っぽの僕」と表現しているのは文字通り満たされていない自分、そして中身のない自分の比喩だと思われます。あるいは守るものがないと捉えることもできるでしょうか。

やはり彼女を失ってから心まで失ってしまったのでしょうか。


自分に芯がないから、平気で人を傷つけたりできるし簡単にその場しのぎの嘘をつく事ができる。


別に自分がどう思われようが構わない、自分さえ良ければそれでいい。

そんな人間は言わずもがな軽蔑されることでしょう。自分の事はどうでもいいので涙も出ないのでしょう。


涙ひとつも出なくてさの歌詞の他人事みたいな乾ききった感じが絶妙にクズさを出してて個人的に好きです。


サビは3パターンあるけどよくよく聞いてると段々理性が負けていってるんですよね。


面白い事に強く否定する表現を使ってる時って否定しないと引っ張られてしまうからなんですよね。


過激なアンチほどその事象に対して詳しく知ってるみたいな…


別に君をまた好きになることなんて「ありえないけど」


もう「好きになる」という文字が脳に思い浮かんでいる時点でもう好きにはなってるんですよ。

ただそれを必死にかき消しているだけの理性は残っているのでしょう。


まあ、最後のサビ見れば分かりますよ。


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何もなくても楽しかった頃に戻りたい…って思っとるやんけ!!!

「とか思わないけど」付けたら許されると思っとるんか(笑)


何もなくても楽しいのは最初の「お互い」恋している時だけです。好き過ぎて盲目になってる時だけです。


君の目を見るとそんな始めたての恋を思い出すくらい彼女の見た目だとか匂いとかはあの頃と変わってないんだろうなという事が分かります。

中身はもしかしたら変わったのかもしれないけど…やはり彼女の根本はずっとあの時のままなのです。


そして、最後のサビでは

別に君をまた好きになるくらい「君は素敵な人だよ」


ほんの少し前は「ありえないけど」って言ってた人間がもう素敵な人だって認めちゃってるんですよね、あれ?聞き間違いかな?

完全に本能に圧倒されちゃってます。


そしてこの歌詞の天才ポイント分かります?

「別に〜」って接頭語は「別に〜けど」で1セットなんですよ。それが見て下さい。


「けど」が無いんです。


つまり、「別に」を付けた時点ではまだ抑えられていた思いがなんと歌詞の途中でひっくり返ったって事なんです。それぐらい「気持ちが葛藤して揺れている」という事を表現しているのです。すげ、、


でもまた「同じことの繰り返し」

っていうのは仮にまた付き合ったとして最初はうまくいったとしても時間が経てばすれ違いが生じてまた関係が破綻してしまうよって事を意味します。


って僕「が」フラれるんだ

ここの助詞が「が」である事が大変重要で以前付き合っていた時は相手がフラれているという事を明確にしています。


つまり、前は「僕から振った」のです。

そして1番の歌詞、「また泣かせても」からあるように泣きながらの別れでは無いのかと想起できます。


それが彼女を失ったのにも関わらず思い出すのは彼女と楽しんだ綺麗な光景ばかりです。


思い出すたび空虚になって忘れようとしてはまた思い出してそんな自分が嫌になって自暴自棄になっていったのではないでしょうか。これはあくまで想像ですけど。


この最後のサビは僕が復縁を持ちかけようとするも彼女に断られるシーンではありますが、果たして実際に元カノに伝えたと思いますか??


つまり、これらのやりとりを脳内だけで済ましてるという可能性もあるんですよね。どうせまた付き合ったとしても同じことの繰り返しだろうと彼女に「言われるだろう」と思って踏みとどまったという説も考えられる訳です。

彼なりの彼女の気持ちに対する折り合いと言いますか、ケジメと言いますかそんな風に捉えることもできます。


こう言った解釈に複数の解答を与える余地のある歌詞を考えるのってなかなか難しいですよ。改めて瑛人の凄さを感じてるわけです。


あとね、歌詞そのものではなくメロディに関しても天才的ポイントがあって

「その香水のせいだよ」の部分に対しての

「香水が思い出させる」

「って僕がフラれるんだ」

って字余りというかちょっとぎこちなさや違和感があるように感じませんか?


その無理やり詰め込んだ歌詞が心の忙しなさや行き合ったりばったりに生きている僕を聴覚でも伝わるようにしているのが絶妙ですね。



【まとめ】

一言で言えば「久しぶりに会った君をまた好きになってしまうクズ男」というストーリーなのですが、そこに散らばる理性と本能の葛藤と変わった部分、変わらない部分、変わっていく部分の対比が分かりやすくて歌詞解釈のしがいがありましたね。


歌詞解釈するのは趣味ではありますが結構エネルギー使うのであんまりやりません。好評ならまたやるかもしれません。


別にいいねを求めてないけど他のツイート見ると思い出す 君のいいね&リツイートのその反応のせいだよ