恋の半生〜中高生編〜

第二章:モテるヤツがモテる

中学生の時の自分はまだ小学校の時の初恋相手を引きずっていた。加えて中学から新天地へと通う事になっていたためほとんどが知らない女子であった。

もちろん魅力的な女性が多かった(とは思う)が、なかなか初っ端から話しかけていけるほどの勇気もトーク力もない。おまけに思春期でますます性差を意識し始めほとんどの女子と喋る機会がそもそも無かった。

 

別に外見や才能で魅力的な部分がない僕がモテるはずも無くあっという間に中3になった。

この頃になるとちょこちょこ付き合い始めるカップルもいた。通っていた学校は異性間交遊には少し厳しく冷ややかな目では見られていたが、無理やり別れされるほどの強制力は無かった。

 

僕は帰り道に異性同士で歩いて帰る光景を半ば羨ましく半ば嫉妬の目で追いかけていた。

しかし、好きな人が目の前にいない、かと言って好いてくれる人もいない。どうしようか。

 

そんなくすぶっていた中、突然僕は告白された。

中3の夏、東北北海道の修学旅行中に函館にある旅館で呼び出され告白されたのだ。

相手は同じクラスではあるが…これまでに話した記憶はない。動機も当然…分からない。

真っ先に考えたのは、「ドッキリ」だ。この頃にはモニタリングみたいなのがテレビで流行っていた。

きっと罰ゲームか何かで俺の反応か告白した人の反応を陰から見て笑っているのだろう。思えば最初に呼び出された人と告白された人は別の人だった。つまり最初に呼び出した人が大元でこの作戦を立てたのだろう。喋った事もないのだ。そう考えるのが自然だった。

 

また、修学旅行はもう1日あったがそこからの動きは全く無かった。そして、また日常に戻っていったのだが、まだ動きがない。当時は携帯やスマホを持っていなかったので本人に直接確かめる他ない。

仕方なく放課後にサッと声をかけ、誰もいない廊下の端っこに誘導した。そして探り探りに、あのぉ、ドッキリとかじゃないよね?と僕は聞き出した。すると、相手はいや、ドッキリじゃないと否定された。そうなるとますます分からない。本気なのか…まあ、本気なら一緒に下校時間を決めて合流しようかと2人で曜日なども決めて帰る事にした。

相手は僕と似てて同性には威勢が良いが異性にはすごむような人で、顔はタイプではないが恥ずかしそうに照れている姿はかわいらしかった。

正直話が合うようなタイプではなかったが、それでも付き合えたって事だけで鼻が伸びるような嬉しく誇らしい気持ちであった。

僕は陸上部で相手はブラスバンド部でお互い校門が閉まるギリギリまで部活していたので口約束だけでも合流は容易であった。

しかし、今までその部活のメンバーと帰ってて急に抜け出すものだからお互いの部活同士には筒抜けである。僕らの後ろにお互いの部活の人達が尾けて笑いながら闊歩していた。

でも僕がやりたかった事だ。いじられながらもしめしめとひと時を謳歌していた。

 

そう付き合っていくと驚く事に異性に喋りかけられる頻度が極端に上がっていったのだ。

もちろん、その彼女の友達とも繋がりが出来るのもあるが、全く関係ない後輩だったり当時通っていた塾の女の子にも声をかけられた。

今まで彼女がいなかった時にはからっきしだったのに、なんでよりにもよって彼女がいる時に溢れかえってるんだよ…!間が悪いな!!と最初は思ったがどうやらこれは偶然ではないらしい。

 

理由は自分の中で2つあって1つは僕自身が異性を追いかける事が必要なくなったために生まれた「余裕」が僕の魅力を引き立たせていたのだ。

もう一つは女子は「彼女を持ってる男」に自然と魅力を感じるのである。

つまり、モテる男がモテるのだ。理由はどうであれ、その「ステータス」に惹かれて寄ってくるのだ。

僕はこの2つ目の真理に気付かずにいた。てっきり自分が魅力的ばかりに勘違いしていた。気付いた時は何を隠そう、別れて気付いたのであった。

 

結局半年弱ほど付き合っていたのだが、結局帰り道に歩いて喋ってただけでプライベートでデートすら行けてなかったし、手すら繋がずに終わった。

デートを誘ってもブラスバンドの練習でいけないと断られ、本当に僕のことが好きなのか?と焦った。

それに、その彼女よりも可愛い人に言い寄られてる現状に満足してしまい、自然消滅的に会う頻度も減って最終的に振られたのだった。

それが中3の冬の出来事であった。

 

それからエスカレーター式に高校生となっていったが結論から言えば彼女は出来なかった。

でも恋したい気持ちは絶えず溢れていた。ではどうしていったのかを第三章で話をしよう。

 

第三章:「好き間」を埋めたもの

彼女がいない期間は中学1.2年生の時にもあった。その頃は初恋の人に捉われていたのと同時に僕はあるアイドルにハマった。当時頭角を現していった全盛のAKB48だ。

1番最初は前田敦子にハマった。やはりリーダーでカリスマの器、人を惹きつける才は本物であった。

しかし、何かが足りなかった。「推し」である以上その人の人生そのものに憧れ誇らしく思える人物でありたい。

前田敦子含め、初期の神7は我が強く周りを蹴落としてでも前に出て人気になっていきたいとギラギラしていた。まあアイドルとして生きていく以上当然なのかもしれないが僕には息が詰まった。

そんな中、ちょうどフライングゲット時代に選抜された横山由依(通称ゆいはん)に僕は射抜かれた。あの初恋以降の一目惚れだ。それから僕は密かにゆいはんを激推し続けた。

↑学生カバン、シールを貼るのが流行りだった。

 

学生カバンにはゆいはんのシールを貼り、雑誌や新聞を切り抜き、クリアファイルや下敷きなどグッズを買ったり、お金がないなりに推し活をしていた。

↑証拠

そしてAKBを辞め、推し始めて10年以上経った今でも好きだ。好きで良かったと思ってる。

アイドルなのに周りの事を見て縁の下で支える健気さと、決めた事に対して絶対に折れない一生懸命さに支えられる事は何度もあった。そしてその中身の良さが外見にも現れており歳を重ねるごとに魅力的になり続けている。

 

また、僕にとって切っては切り離せない麻生久美子さんも高1の時にとあるドラマで一目惚れし今に至る。顔がタイプというのは言わずもがな、声も落ち着いているし上品なのにコミカルな役も務められるし、かといって下品すぎない一緒に居たいなと思わせられる理想の人である。

↑描きたい美しさ

なんやかんやで女性の部では「ゆいはん」と「麻生久美子」の二大巨頭で僕の推しの歴史を引っ張ってくれており、特に恋に飢えていた高校時代には僕の隙間を「好き間」で埋めてくれたのだった。

第四章:フラれて学んだこと

高校1年の頃、付き合ってた人と別れて1人になった瞬間、今まで(少し)モテてたのがウソのようにモテなくなった。

ここで初めてモテる人がモテるんだなと実感した僕はとにかく新しい彼女を見つけなきゃと焦り出す。なぜならモテたかったからだ。思春期の男とはそれくらい単純である。

 

同じクラスに可愛い人がいたので好きになった。完全にタイプだ。高1の秋に告白したがあっさりフラれた。高2になるまでのつなぎにアイドルである私立恵比寿中学松野莉奈さんを好きになる。高2には新しく高校から編入してきた人を好きになり、ロンドンの修学旅行にてこれまた告白するもフラれてしまう。(詳細は『自分の半生〜高校生編②』参照)

 

ここの共通点は何か、それは全員笑えるほど顔の系統が同じなのである。

細い吊り目、高い鼻、小顔、色白。俗に言うキツネ顔だ。麻生久美子さんもそうだが、完全に初恋の人に引っ張られている。

そして顔の系統で選んでしまってるが為に、僕に特別共通点がある訳ではない。

つまり、仮に付き合ったとして話す話題も無いし何にもできなかっただろう。そもそもまともな会話すらしてきてなかったんだから無理に決まっている。

告白と言いながら「あなたは僕のタイプです」とただ性癖を打ち明けているだけだったのだ。

巷で流行語になっている「イキ告」(いきなり告白)そのもので、ちょっとでも可能性のある人に段階を踏まずに告白している迷惑行為を当時はやっちゃったんですよね。すいませんでした。

 

僕は反省をし、少しは話題があったり、好きになってくれそうな人を選んで告白するもこれもフラれ、更には色んな人にバラされ散々だった。

 

当時僕はslam dunkにハマっており主人公の桜木花道は50人にフラれていたので、それと比べれば全然マシだろうと自分自身を慰めた。

それに、僕は告白する「勇気」を踏み出した事を評価したい。

 

皆さんは初めて告白したのはいつでしょうか?

もしかしたらした事がない人もいるかもしれません。

した事があるという人なら分かると思うが、自分の気持ちを伝えるってまるで自分の全裸を晒すかのように勇気がいる行動なのだ。

 

僕は未熟だったので、あらかじめ告白するタイミングなどを綿密に考え上手いこと2人きりになるような状況を作ろうとしていた。(まあ他人にまるっきり筒抜けだったが。)

まあそれすらもこの思春期の監獄下では難しい訳である。

そしていざ告白するとなると心臓がバクバクするような緊張。今にも逃げ出したくなるような瞬間が何度でもあった。それを乗り越えて自分の気持ちを吐露する訳だ。

僕はそれを高校で4回もやってのけたのだ。そんな緊張と比べたら、陸上のスタートとか大学受験の緊張なんて大した事じゃない。まあ欲を言えば1回は成功して欲しかったものだが。

図らずもその経験が大学生活以降に活きてきた(?)気がする。何回かは同じ過ちを繰り返したような気がするが…。

 

まあ特に高校生活で言える事だが、本当に女子との会話がほとんど無かった。なんというか必要な時以外は一切喋らなかった。

それは理系のクラス…いや偏差値の高い学校での発想というのも少しはあると思うが、無駄を嫌うんですよね。

だから喋りかけられてる時は絶対に意味がある時だし、裏を返せばその気がある人にしか喋りかけないんですよね。その気がない人に喋りかけても無駄だから。

それは男子女子良くも悪くもお互いがそうだったので意味のない異性での会話は普段ではしないというのが普通だと思い込んでいた。

 

なので共学にいながら特段込み入った会話も無く卒業してしまった僕の大学ライフはいきなりその前提を覆される事から始まるのだった…。